代理店ビジネスは、高額な初期費用がかからず、一人でも始められることが魅力です。
この記事では、代理店ビジネスの起業を検討している方に向けて、代理店契約の仕組みやメリット、代理店契約の際の注意点などをまとめて解説します。
代理店契約の仕組みとは?

代理店契約とは、事業者がメーカーから委託を受けて、商品・サービスの営業や販売、アフターフォローなどを代行する契約です。
代理店の役割は、商品・サービスの販売代行・仲介であり、顧客は代理店ではなくメーカーと契約を結びます。
代理店は、商品・サービスの販売実績に応じて、メーカーから一定の販売手数料を受け取る仕組みです。
代理店契約と販売店契約の違い
混同しやすい代理店契約と販売店契約ですが、業務形態は大きく異なります。
代理店契約と販売店契約の違いを下表にまとめました。
代理店契約 (エージェント方式) | 販売店契約 (ディストリビューター方式) | |
業務形態 | メーカーの営業や販売活動を代行する | メーカーから買い取った商品を顧客に売る |
利益 | 販売実績に応じてメーカーから一定の手数料(マージン)を得る | 商品の販売利益 |
契約の構図 | メーカー⇔顧客(代理店は仲介のみ) | 販売店⇔顧客 |
代理店契約は「エージェント方式」、販売店契約は「ディストリビューター方式」と呼ばれることもあります。
大きな違いは、商品の仕入れの有無です。
代理店契約では、事業者がメーカーから商品を買い取る必要はなく、不要な在庫を抱えるリスクを抑えられます。
ただしその分、一商品当たりの利益は少なめで、十分な利益を得るにはより多くの商品を売らなくてはなりません。
一方販売店は、メーカーから買い取った商品を顧客に売って販売利益を得ます。
一商品当たりの利益は大きめですが、買い取った商品が売れなければ自身が損失を被るリスクがあります。
代理店契約の3つのメリット

続いて、事業者がメーカーと代理店契約を結ぶメリットについて詳しく見ていきましょう。
代理店契約のメリット①仕入れがない
先述の通り、代理店はメーカーから商品を買い取る必要がありません。
そのため、在庫を抱えるリスクや在庫管理のコストを抑えられることがメリットです。
代理店契約のメリット②一人で始められる
代理店は、メーカーと契約を結べば、一人でも始められることがメリットです。
代理店は自社で商品を開発する必要がないため、起業にかかる時間やコストを大幅に抑えられます。
また、実店舗を持たずWebサイトのみで開業することもできるので、少ない初期費用で起業しやすいことも魅力です。
代理店契約のメリット③本部のサポートがある
代理店契約を結ぶことで、自社で商品を開発しなくても、手軽に商品・サービスを取り扱えます。
また場合によっては、本部からサポートを受けられることもあります。
加えて、契約先が大手企業であれば、メーカーやブランドの看板を借りて、自社の知名度を高められる可能性もあります。
代理店契約書で確認するべき5つのポイント

最後に、代理店契約を結ぶ際に、契約書で確認しておきたいポイントを5点紹介します。
知らずに不利な契約を結んでしまわないよう、事前にしっかりとポイントを押さえておきましょう。
①支払いサイクル
まずは報酬の締め日や支払日など、支払いサイクルを確認しておきましょう。
毎月月末に締めて翌月末に支払われたり、四半期ごとに締めたりと、契約内容によって報酬の支払いサイクルは異なります。
同時に、支払方法についても確認しておくのがおすすめです。
②報酬形態
手数料の割合や報酬形態も要チェックです。
契約内容により手数料の計算方法は異なるため、「完全に販売実績に比例して手数料が決まる?」もしくは「一定の最低手数料額を設ける?」といった細かな条件にも気を配りましょう。
また、手数料が発生するタイミングにも注意が必要です。
代理店を営む上では、「メーカーと顧客の間に契約が成立したけれど、顧客がメーカーに代金を支払わない」といったトラブルが起きることも多々あります。
その際、「手数料は顧客が支払いを行った時点で発生する」といった契約内容の場合、代理店が不利益を被る可能性があります。
逆に「手数料はメーカーと顧客の間に契約が成立した時点で発生する」という契約内容であれば、代理店にとっては有利です。
③知的財産(標章等)の管理
メーカーが持つ商標(商品の名称・ロゴマーク)などの知的財産に関しても、管理の方法を取り決めておきましょう。
代理店契約を結ぶ時は、対象商品・サービスの販売のために、メーカーが商標の使用を許可することがあります。
特にメーカーが大企業の場合、代理店は商標を販促に利用することで、売上や知名度を伸ばす効果が期待できます。
しかし、代理店がメーカーの意図しない方法で商標を使用してはトラブルにつながってしまうため、事前に許諾範囲や許諾内容、トラブル時の責任の所在などを定めておくことが重要です。
④契約期間と解除条項
代理店契約の契約期間についても確認しておきましょう。契約期間はメーカーとの合意により自由に定めることができます。
また、万が一メーカー側が報酬を規定通り支払わなかったり、重大な違反行為が発覚したりした際に契約を解除できるよう、解除条項を定めておくこともポイントです。
⑤競合品の取り扱い
競合品の取り扱いに制限があるかどうかもチェックしてみてください。
代理店は、複数のメーカーと契約を結んで、同一地域で競合品を取り扱うケースがあります。
一方メーカー側は、自社商品の販売への影響を危惧して、代理店の競合品の取り扱いを禁止することもあります。
競合品の取り扱いに制限があると、魅力的な競合品があっても手を出せず、代理店にとっては不利です。
そのため双方が納得できるよう、競合品の取り扱いに関しても事前に協議しておく必要があります。
まとめ
- 代理店は、メーカーの商品・サービスの販売を代行し、手数料を得る
- 代理店契約と販売店契約では、仕入れの有無や利益の受け取り方が異なる
- 代理店は、在庫を抱えるリスクがなく、一人でも始められるのがメリット
- 代理店契約を結ぶ際は、契約書の内容に注意が必要